風の独り言

日本百名山「岩木山」「八甲田山」…本州最北の山を登る

 世界遺産、白神山地に分け入り、白神岳に登り、十二湖と暗門の滝を見て岩木山八合目の登山口にテントを張った。暮れなずむ津軽平野と細く北に伸びる津軽半島。半島を挟みこむように津軽海峡と日本海が夕日をあびてキラキラ光っている。黙って見ているだけで、北に旅して来た実感が沸く。急ぎ夕食をとり、更け往く最北の山々の濃淡を楽しむことにした。又、満天の星々を期待したのだが、三日月が天頂にあって果たせなかった。白神山地が墨色を増し、寂しさが酒の量をいやがおうにも増す。したたかに酔って眠りにつく。

 翌朝は、たなびく朝靄の中、雀を追う竹でっぽうの音で目を覚ました。里の音が八合目まで聞こえる。天気が悪くなるかも知れない。それでも視界良好。夕食の残りを朝食にして、午前7時30分。山頂を目指す。白樺、山桜の潅木の中を登る。1時間ほどで火口跡に到着。

ここから岩場の登りになる。落石に気を使いながら30分。山頂到着。岩木山神社の祠がある。山小屋と間違えたが社務所があり、若い神主さんが眠い顔をして起きてきた。岩木山は独立峰である。視界360度、弘前市青森市、下北半島、津軽半島、男鹿半島、白神山地、八甲田山、岩手山、日本海、もう少し透明度があれば北海道まで見渡せるそうだ。津軽の人々の信仰を営々と集めている山であることを畏敬の念をこめて実感した。

 赤く林檎の実る村々を通り、八甲田山に向う。林檎の実がなる時は、村ごと、街道ごと、いや津軽平野ごと、林檎のにおいがする。岩木山と八甲田山の中間に弘前市がある。青森第2の都市のわりにはのんびりしている。城址公園の桜は見事だろうと傍を走り抜けた。

 午後1時、八甲田ロープウェイ到着、早速、八甲田山主峰の大岳をめざす。30分の木道歩きの後に赤倉岳山頂へ、井戸岳より急に下って、大岳避難小屋で小休止。30分登り返して、大岳山頂に到着。八甲田山からの眺めも岩木山に勝るとも劣らない素晴らしい眺めだ。岩木山頂で見た下北、津軽の半島、海、山々に加え、太平洋が見える。又、岩木山の堂々とした勇姿。津軽富士の名に相応しい山容である。十分達成感を楽しんで下山。千人岱というお花畑を通って酸ケ湯温泉に下山した。お花畑では朱色の花々が群生していたが、恥ずかしながら名前がわからない。関東地方やアルプスでは見ない花々であった。後日、ネバリノギラン、又は、ネジバナと言う名前かと思うが。

 バスを待つ間、酸ケ湯温泉に入る。名にしおうヒバ千人風呂。3日間の山旅の疲れをいっぺんにとってくれた。しかし、又、670kmの復路。佐野に帰り着いたのは4日目、午前1時であった。本州最北の山旅は、東北の山々の持つ独特の優しさの中、無事に終了となったが、又、来よう、又、来たいという感慨が深い。山と一緒に海を臨む眺望。ブナの原生林の美しさ。本当に又、登りたい。

ウィンズワールド 根本佳英